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「ちょっと……何やってんのよ?」 「見て分からねーか」 「わたしが聞いてるのは主人を待たせて何やってんのってことよ!」 その言葉を完全にガン無視決め込み髪をブラシで整える。 プロシュートもイタリア人である。故に身だしなみには当然気を使う。 ちなみに兄貴『パッショーネ モテる男ランキング』の常に上位に君臨している(メローネ調べ) なお、最下位は5年連続してポルポがブッチ切りだ。(理由:包み込んでくれそうというより潰されそう 常に何か食ってる ・・・etc) それを終えたプロシュートがルイズの前に常人には若干関節に負担があるような立ち方で立つ ルイズの耳に ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨ というような音が聞こえたような気がしたが関わると良いことが起こりそうにないので深く突っ込まない事にした。 食堂に向かいルイズが中に入る、だがプロシュートは入り口の前で止まっていた。 「どうしたのよ?」 「……オレはいい」 主従関係を教えるための朝食を用意していたルイズであったが本人が食べないというのでは意味がない。 「食べないのは勝手だけど後で欲しいって言っても知らないわよ」 何とか食堂に連れて行こうとする。 もっとも、ルイズが用意したプロシュートの朝食内容を見れば食堂内で即グレイトフル・デッド発動ということになり大惨事になっていただろうが。 「いいからさっさと行け……」 ルイズが食堂に入ったのを見届けるとプロシュートが壁に背を預け目を閉じる。勿論寝ているわけではない。 夢だ。あの夢が妙に気になっていた。 チームの仲間達の死体の目。あの姿と視線がフラッシュバックとして脳内に蘇りとてもじゃあないが朝食を摂る気にはなれなかった。 いや、それだけならまだいい。「ソルベ、ジェラード、ホルマジオ、イルーゾォ」ヤツらはボスを倒すと誓ったその日から覚悟はしていたし死んだ事も知っている。 だが「ペッシ、メローネ、ギアッチョ、リゾット」は別だ。ヤツらはまだ死んじゃあいない。何故ああもリアリティ溢れる夢を見たのか気に掛かっていた。 「メローネ、ギアッチョ、リゾット」に関しては腕が立つ連中だしあまり心配する事もないが気掛かりなのは弟分のペッシだ。 自分があの状況下から居なくなったという事は「老化の解除」即ち亀の中の連中の復活を意味する。 ペッシのビーチ・ボーイは1対1向けの能力だ、グレイトフル・デッドのように複数人を相手にするのには向いていない。 おまけにあの夢の中のペッシのやられ方はブチャラティのスティッキィ・フィンガースの攻撃にやられたものと同じだ。 その事が自然と彼に朝食を摂らせる気を失せさせていた。 (成長してりゃあいいがな…) 「……るのかい?」 声が聞こえプロシュートが目を開き周囲を見る。 そこには、ここの生徒と思われる男が少女を連れて立っていた 「聞こえているのかい?」 「何か用か?」 「まったく…聞こえているじゃないか、ミス・ヴァリエールが召喚した『平民』の使い魔だったね。道を開けてくれないか」 『平民』という部分を若干強調して男が話す。 だがプロシュートは壁に背を預け立っているので、人が通るスペースなど十二分にある。 「……通りたけりゃあ通りゃあいいじゃあねぇか」 「分からないかい?君は平民なんだから貴族に道を譲るのは当然じゃないか」 思わず蹴りを入れそうになるが、一応ルイズから騒ぎを起こすなと言われているため無言で道を開ける。 それを見た男が満足気な顔で少女を連れ食堂に入っていった。 もちろん、このままではプロシュート、いや暗殺チームとしての沽券に関わる。 男が食堂に入る前にグレイトフル・デッドで男の財布を抜き取っておいた。 数時間後騒ぎになるが犯人は誰か分からないままであった。(後のギーシュ財布盗難騒動である) 朝食を終えたルイズが授業を受けるべくプロシュートと共に教室に向かう。 この朝一の授業はサモン・サーヴァントの初めての授業。つまり皆が己の使い魔を披露する場も兼ねている。 その中にただプロシュートが立つ。ハッキリ言って浮いている、そりゃあもう浮いている。ジャンピン・ジャック・フラッシュを食らったかの如く浮いてる。 壁に背を預け腕を組みながら立つその姿はどう見てもヤクザです、本当に(ry ざわ……ざわ……ざわ…… ざわ……ざわ……ざわ…… 生徒がざわつき始めるがその内容は殆どプロシュートとルイズに対してのものだ。 その中に明らかにプロシュートに対して脅えているものが2~3名。初日のグレイトフル・デッドの広域老化攻撃に巻き込まれた連中だ。 話の内容から察するに他の生徒達からは「夢でも見てたんじゃあないか」とか「平民がそんな事できるわけない」とか言われているようで 本人達も気付けば特に異常は無いらしく夢あたりと思いたいらしいがやはり兄貴の平民にあるまじきプレッシャーが怖いらしい。 そんな中『ゼロのルイズ』という単語が聞こえる。プロシュートがルイズにそれがどういう意味か尋ねてみるが (アンタには関係ないでしょ!) という目で思いっきり睨み返される。 そうこうしているうちに授業が始まるがプロシュートには全く興味が無い事なのでほとんど話を聞いていない。 唯一、シュルヴルーズと呼ばれる教師が石を金属に変えた時はそれを見ていたようだが。 そして、ルイズが教師に呼ばれ前に出る。生徒達のざわめきがプロシュート達が教室に入ったものより大きく続々と生徒達が机の下などに退避する。 ルイズが詠唱を始め石に杖を向ける。だがプロシュートの背筋にゾクリと冷たい物が走る。 亀に直触りを仕掛けようとし、列車の天井にジッパーを付けたブチャラティが自分を攻撃しようとした時のように。 瞬時にグレイトフル・デッドを発現させ一気に教室の後ろまで下がる。机の下は生徒達とその使い魔で一杯で入る余裕は無い。 後ろに行きスタンドを構えさせた瞬間―――『爆発』が起こった。 色々な破片がプロシュートに飛んでくるが全てグレイトフル・デッドで迎撃する。精密動作がニガテとはいえこの程度の物を落とすのは訳はない。 机の下に隠れてたとはいえ爆風まで完全に遮断できず、生徒達が若干ススに汚れたまま這い出てくる。 一応自身を見るがスーツに傷や汚れは無い。オーダーメイドであり体に完全に馴染むものはこれ一着しか無い。汚れはともかく傷だけは御免だ。 スス塗れの生徒達からルイズに明らかに非難と侮蔑の視線と言葉が集まる。当のルイズは下を向き若干震えたようにしている。 だが、プロシュートが抱いた感想は生徒達の物とは違っていた。 (隠密行動や暗殺には向かねーが、大した威力じゃあねーか) あくまでギャング的な思考である。 授業終了後、殆どの全ての生徒が出て行った教室でルイズとは対照的な女とルイズが激しくガンを飛ばしまくっていた。もっともほとんどルイズが一方的にではあるが。 「また派手にやってくれたもんねぇゼロのルイズ」 「きょ、今日は少し調子が悪かっただけよ!」 「あら、今日じゃなくて何時もの間違いじゃない?」 など口論している、ところにプロシュートが割り込む。 「聞きてぇんだが『ゼロのルイズ』ってのはどういう意味だ?」 「あら…あなたがルイズの召喚したっていう平民ね。…結構シブくて良い男じゃない」 「フン…で、オレは『ゼロのルイズ』って意味を知りてぇんだが」 「だから、アンタには関係ないって――ひょっほあにふんほよ!(ちょっとなにすんのよ!)」 女がルイズの口を押さえてプロシュートの問いに答え始める。 「なるほどな、あの爆発は魔法に失敗した結果って事か」 「そう、今までの魔法が100%失敗してるから『ゼロ』って事よ」 「あらもう、こんな時間。先に行ってるからこれからも頑張んなさいよゼロのル・イ・ズ♪」 「~~~~~~~ッ!!」 からかうようにして言い放つ女に対し怒りが限界を突破して声にすらなっていない。ルイズ火山噴火一歩手前というところである。 ・・・ だが、次の瞬間プロシュートが取った行動は―――意外ッ!それは肘撃ちッ! バギィ! 教室に響く鈍い音 若干手加減されていたとはいえ現役ギャングの攻撃である。女は思いっきり床に倒れていった。 ルイズとその女、双方とも何が起こったのは分からないといったような表情だ。先ほどまでの喧騒が嘘の様に静かになっている。 「使い魔…それも…平民が!名誉あるツェルプストー家の…この『微熱のキュルケ』に何てことをッ…!!」 ルイズの方はまだ何が起こったのは理解できていない様子で倒れているキュルケを見たまま動けないでいる だが、プロシュートはそんな事に構いもせず倒れている女―キュルケに近寄り言い放つ。 「オレの世界ではなッ!侮辱するという行為は殺人すら許さていると言ったヤツが居るッ! いけすかねぇ豚野朗だったがそいつのその言葉だけは一理あったッ!今ッ!オメーはそういう事をこいつにやっているんだぜッ!」 プロシュートの迫力に何も言えなくなるキュルケ、そしてプロシュートが自分が『ゼロのルイズ』と呼ばれていた事に対してキュルケを殴った事に気付く。 (え…こいつが怒ってるのってわたしが『ゼロのルイズ』って呼ばれて、侮辱されたからって事…?) さらにヒートアップするプロシュートの説教。チーム内でもペッシ、メローネ、ギアッチョに対しての説教の多さは有名になっていたりする。 まぁメローネとギアッチョは大して聞いていないため実質ペッシだけであるが。 「行くぜルイズッ!」 ギャングとしての説教を終えルイズを呼び教室を去るプロシュート。呼ばれた方は初めて自分の名前が呼ばれた事もあってマトモな返事も出来ず付いていく。 そして一人教室に残されたキュルケ。何も言えなかった、何も言えるはずがなかった。 「平民が…!この『微熱のキュルケ』に…!許せない…!許せない…!」 そう呟く。だが次の言葉で何も言えなかった理由が判明する。 ・・・・・ 「……許せないぐらい『燃えてきたわッ!』」 微熱のキュルケ、その二つ名の本領が発揮された瞬間であった。 戻る< 目次 続く
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415 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 11 02.53 ID VBTde5LW0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「……条件がある。あなたの魔法を教えて欲しい」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「きゅい! おねえさまなに言ってるのね! __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ この人に何かを求めたらいけない気がするのね! 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ きっと利用されて最後にはポイよ!」 ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 417 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 11 39.87 ID VBTde5LW0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;;;/ レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v l | /-l ト、 | / / ノY ヽ !./ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | 「ギャアアァアアァアアァ!!!!!!!!!!」 /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ ` -‐ 420 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 13 19.00 ID VBTde5LW0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「きぃやぁぁあぁああぁあああ!!!!!! ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ そ、そんなに怒らないで欲しいのね! ちょっと言ってみただけなのね! ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ 「……うるさい」 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 422 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 14 45.01 ID VBTde5LW0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「ふぅん。貴様にできるかどうかはわからんがな / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! まぁ考えてやろう」 . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 427 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 17 50.36 ID VBTde5LW0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「……わかった。着いて来て」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「……もう! おねえさまったら! __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ こんな危険人物とは即刻縁を切るべきなのね!」 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 428 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 18 11.30 ID VBTde5LW0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;;;/ レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v l | /-l ト、 | / / ノY ヽ !./ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | 「ギャアアァアアァアアァ!!!!!!!!!!」 /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ ` -‐ 432 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 18 47.56 ID VBTde5LW0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「きぃやああああぁああぁあ!!!!!」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「……学習しない」 __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 443 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 23 02.25 ID VBTde5LW0 ~ヴェルサルテイル宮殿外~ ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「ふぅん。なるほどやつの母親を人質にこのガリア王国とやらは / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! 奴に任務を強いているわけか」 . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 450 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 25 25.64 ID VBTde5LW0 , ´,、 _ `ヽ、 / / , ´ \ / / / / `ヽ , l / / / l 、 、 ヽヽ , ,゙ .| , , i | | | l | l , ,. i ! | , ,l |l | | | | | | | i l | | | | l| | | | | | | | | |! | | | | | 「そうなのね! あのわがまま姫! | | _.| └|ト、.,|_|_|_ハ_,ム |_/|/_|| | | | |l |! シルフィがいつかギタギタにしてやるのね!」 || { ! l | ,、 -_ 、 ,二,ー‐L_|__||ソ | ハ.| l | 〃 ぅ;;; } c;ォ } / | | , | |. |. ` ゞー └゙ ´ハ | , ,| | | 、、、、 、、、 ハ|. | , , / | l |\ ノ/ | | , , / | | | \ 一 ,. イ´ / | | , /イ | | | _ ` ー-‐´ヽr 、/ l| | /,rヽ´ | |レ ´ _ヽニ、|! / __ \ | | /-、 ヽヽ; | r´ - |)|/⌒l´ ` ヽ, .|, / \ ヽヽ、| | ´ ̄ }/ゝ__j/´` ー | | ヽ / ヽ \ \| | ` ̄ ̄}´ / r─‐ |.| | 前へ トップページ 次へ
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透き透るほど青い空。高く浮かぶ白い雲の下。 気持ちよく晴れわたる午前の陽気の中で。 一人の少年が、しゃがみ込んでなにやらタライに張った水と格闘している。 平賀才人は、この世界――魔法という文明が根幹を成す彼の常識が全く通用しない世界――で、今日も元気に主の下着を洗濯していた。 主人がまるで嫌がらせとしか思えないほど何回も着替えし、結果として毎日大量の洗濯物が出る。 それにさっきまで独りで文句を言いながら、鬱憤を毒吐きしつつ洗濯をしていた。 面と向かって文句を言えば、倍以上になって返ってくるのは、わかりきっているからだ。 「……っと、こうじゃ、ないんだよなぁ……」 今日の分の洗濯が終わり、一休みしていた彼は手に持った石を一つ、空中に放り投げ、戻ってはまた放る動作を繰り返す。 「イメージは……あるんだよな。……なんとなく」 水の張ったタライの中心に、再び才人は石を浸す。 それを、勢いをつけて回した。が、石はすぐに勢いを失い、水は掻き混ざったときの僅かな泡を残し、波紋一つ無く、凪一つなく水面は沈黙する。 「あー、わっかんねえなあ」 才人は悔しがる。これができれば――、少なくとも洗濯は、大分楽になるのに。 そう、思った。 才人達がこの世界にきて、すでに四日が過ぎた。 余りにも違いすぎる環境に、戸惑うどころか、頭を抱えたくなったこともあったが、いまはそれなりに馴染んで、毎日を過ごしていた。 すでに彼の首には首輪こそあったが、鎖は、繋がれていない。 比較的、まだ従順だと判断されているからだ。 つまり、もう一人のほうはどうかというと――あいも変わらず、雁字搦めの生活である。 ジャイロの拘束が解けたのは、才人の一日あとであったが、それは「壁から鎖を離された」ということであり、首、両手、両足には、今もしっかりと鎖がついていた。 初日の大逃走劇が今も尾を引いていて、「自由にすると何されるかわからない」と認識されているからだ。 使い魔を呼び出した翌日の授業には、才人だけが連れていかれた。 周りの連中が、「ルイズ! もう一人はどうしたんだよ!? まさかまた逃げられたのか!?」 と、囃し立てたので、 「調教中よ!!」 と一喝し、教室を引かせたのは記憶に新しい。 その日は当然というか、食事ができたのは才人一人。 彼が余りにも不憫なので、才人は自分のパンの五分の四を食べたところで、残りは隠して部屋に持っていった。 そして今、才人は 「あんたができるのはこのぐらいでしょ」 と、洗濯の仕事を皮切りに、雑用全般を押し付けられている。 そしてジャイロも――、いまは一見大人しく、ルイズの我がままを、彼なりに聞いていた。 「ただ逃げるだけじゃねぇ……。どうやって“この世界”から逃げるか、だぜ」 ニョホ、と、隣でまた我を通して腫れた唇で笑った男に、才人は尋ね返す。 「ここから逃げるだけじゃ駄目なのかよ」 「オレ達がこの世界に呼び出されたってんなら。……向こうに行く方法だってねえとは限らねえ。なんか方法はあるはずだ。……まず、そいつを探さなきゃよォ」 「じゃあ、しばらくはここに留まるのか?」 「聞く限りじゃ、ここは学校なんだろ。文献だってごまんとありそうだしな。探してみりゃなんか載ってるかもしれねえなぁ」 「……だけど、俺もあんたも、この世界の文字なんて読めないぞ?」 「文字ってのは法則があんだよ……心配すんな。なんとか憶えてみるからよ」 再び、笑った男の顔が、どことなく頼もしく、才人には見えた。 「……にしても、オメー。洗濯遅せーなぁ」 「なっ……? もう終わったのか!? 早すぎだろそれ! 量だって俺の倍あっただろ!」 「オレのは早えーんだぜ。なんたって全自動だからなぁー」 ニョホホ、と笑い、ジャイロは絞り終わった洗濯物を張ったロープにかけていく。 才人が、ジャイロの使っていたタライを見る。 その水は、勢いよく渦を巻いていた。 その中心で――、拳ほどの石が、勢いよく回転していたのだった。 「ピザ・モッツァレラ♪ ピザ・モッツァレラ♪ レラレラレラレラ レラレラレラレラ レラレラレラレラ ピザ・モッツァレラ♪」 ンッン~、と鼻歌を歌いながらジャイロは洗濯物を干していく。 「ちょ、ちょっと! おい! ジャイロ!」 才人が彼を呼ぶ。 「何だぁ? 言っとくが手伝いはしねーぞ。あのチビ、オレに多めによこしやがったんだからよぉー。あ、それともこの歌か? 作詞作曲オレだ。パクんなよ」 「そうじゃなくて! 石! 石が回ってる!」 すでに勢いを失い、水は平静を取り戻そうとしていたが……まだその潮流は、残っている。 「あー、それか。オレが回した」 「まわしたぁ?!」 「回転させたんだ……。だが石は駄目だ、脆くてよォ」 すぐに壊れんだよ、と彼は言う。 覗いてみると……、確かに、石は水の中で、粉々になっていた。 「やっぱ鉄だな。それも削りだしたやつ。鉄でも木っ端寄せ集めたヤツも、すぐ壊れるからよ」 まあ一度くらいなら投げられるがよ、と、彼は独り言のように、言った。 「な、なぁ。例えば、これって……。俺にも、できるかな?」 「はあ? おたくもやりてーってか。まあ技術だからな。できねーことはねーと思うぜ。オレほど使いこなせねーとは思うがな」 うっし、終わり。とジャイロは自分の仕事を終え、その場を離れる。 「ま、待てって! 俺ももうすぐ終わるから!」 「終わったんなら戻って来いよー。おチビちゃん、うるせえからよォ」 バイバイ、と手を振りながら、ジャイロはニョホホホホと去っていく。 「あ、あんにゃろぅ……」 乱暴に絞った洗濯物を担いで、ロープにかけようとするが、近くの木に空きは無かった。 仕方なく、壁向こうにあった木にロープがあったな、と思い出し、足を向ける。 壁を通り過ぎ、木を見る。 そこのロープは、空いていたが。 「あ、あの! すいません!」 誰かに、声をかけられた。 自分の前には、誰もいない。 首をかしげた才人に、 「あの! こっちです! こっち!」 上から、声がする。 見上げる。 高いところにある幹に腰掛けた、メイド服の少女がひとり、なんだか焦ったような、困ったような顔をして、そこにいる。 「何してんの、君?」 「あ、あの、大変申し訳ないんですけど! 助けてください!」 要するに、――高すぎて降りれない、ということらしい。 「降りれないのに登っちゃったの?」 「うぅー。……まあそうなんですけど」 ますます困った顔をした少女を、少年は助けてあげようとは思ったのだけど。 「……高いよね」 「……はい。……だいぶ、高いです」 「たとえば――、飛び降りたり、できない?」 「たぶん……、足とか折れちゃいます」 「……だろうね」 これは自分一人では、どうしようもないな、と才人は思った。 増援を呼ぼうと考えつく。 「ちょっと待ってて。いま人呼んでくるから」 そう言って反対を向いた才人の、正面に。 「なにしてんだ?」 よく知る男が、いた。 「ジャイロ?! 戻ったんじゃないのか!?」 「一人で戻っておチビちゃんの相手なんかしてーと思わねーよ。それに、……探しものしてるからよ」 「探しもの?」 「鉄球だ鉄球。一個失くしてんだよ。ほれ、オメーも暇なら探せ」 「いや、こっちも忙しいんだ。むしろ手伝ってほしい」 「何だ?」 指をさす。――借りてきた猫のように大人しくなった黒髪の少女が、大分高いところで縮んでいた。 「ほー。そんで降りれねーから助けてくれと。……しかし、梯子もねーのにどーやって登ったんだか」 ジャイロが見上げたまま、少女と会話する。 「どーするジャイロ……? 梯子とか持ってくるしかないんじゃないか?」 「まー、そうするしかねーだろ。まさかお嬢ちゃんに飛び降りろとは言えねーだろ。受け止めそこなったら大変だからよォ」 責任とらされるかもな、とジャイロは言う。 鉄球があれば、木を湾曲させて幹を低くすることもできたのだが。 仕方なく、才人に梯子をもって来てもらう案で、決定する。 「よーしお嬢ちゃん、もーすぐ助けるから、少しそこで待ってな」 ジャイロが声をかける。 「あ、ありがとうございますー」 上から、感謝の言葉が聞こえた。 「あ、あのー。お二人は貴族の方ではないんですよねー?」 「ああー? まーそーだなー。そんな大したもんじゃねーなぁ」 「い、いや、魔法をお使いにならないみたいでしたからー」 魔法を使わないから、貴族じゃない。 そういうことらしい。 「あ、あのー。もしかしてー。この前、召還された使い魔の平民って、あなた達のことですかー?」 「まー、そーみてーだなー」 そして、才人が梯子を持って、駆け戻ってくる。 少女がそれを見て、ほっとした表情を見せた、そのとき。 風が、吹いた。 それは陽気なそよ風にも似て、気持ちよくも感じたものではあったが。 少女の、スカートが。――ぺろり、と、舞い上がる。 それは正面の才人から、とても、よく見え。 真下にいた、ジャイロには、なんのことかわからず。 才人が思わず、「白」と言ったことに。 「――えっ? えっ!? えええっ!?」 あわてて前を押さえつける。だが、腰掛けているものがあまりにも不安定なものだったから。 ずるっ。と、滑り落ちた。 どんっ!! と大きな音が響く。 少女がいて、その下には――ジャイロがいて。 彼がクッションになったおかげで、少女は傷一つ無い。 「だ、大丈夫かよ!?」 才人が駆け寄る。 「あ、はい私は。――あと、この子も」 少女が胸を開けてなにか取り出す。 にゃあ、と泣き声がして――、子猫が一匹、顔を覗かせた。 「もしかして――こいつを、助けるために?」 「ええ。まあ」 てへっ、と少女が舌をだす。 「あの、助けてくださって、本当にありがとうございました。私、シエスタっていいます。あの――あなた、達の」 「俺は才人。平賀才人。……で、君の下で気絶してるのが、ジャイロ」 陽気な日差しの中、才人とシエスタは、お互いに笑いあった。
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379 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 44 37.74 ID Yw+ghNwc0 番外編その二 ~賭博場のイカサマ~ フリッグの舞踏会で社長がルイズよりタバサに興味を持ったときの話 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「ふぅん。あの青髪の女、窓から出て行ったか / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! ……まぁいい、たまには座興も必要だ」 . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 382 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 46 37.34 ID Yw+ghNwc0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;;;/ レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v l | /-l ト、 | / / ノY ヽ !./ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト 「来いブルーアイズ! /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | あの貧弱な龍を追うぞ!」 /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ ` -‐ 389 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 53 45.48 ID Yw+ghNwc0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「おねえさま、また任務なの?」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「そう」 __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ 「あのわがまま姫ったらこんなときに任務なんて! ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー 空気が読めないにもほどがある……ってなんなのねー!!??」 |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 391 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 44 37.74 ID Yw+ghNwc0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;;;/ レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v l | /-l ト、 | / / ノY ヽ !./ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ ` -‐ 394 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 54 39.61 ID Yw+ghNwc0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「ふぅん。やはりブルーアイズ、追いつくのも一瞬だったか」 / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 399 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/21(金) 23 58 51.74 ID Yw+ghNwc0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「キャアアアア!!!! ドラゴンなのね! こわい! こわい!」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「あなたもドラゴン」 __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ 「そうだったのね……ってちがうのね! なんでこのドラゴンがここにいるのね!」 ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ 「……なんのよう?」 ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 402 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 01 47.20 ID VBTde5LW0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「ふぅん。舞踏会からドレスのまま外に飛び出せばいやでも目に付くわ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! 緊急事態なのだろう? 俺の力を貸してやろうと思ってな」 . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 407 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 04 44.51 ID VBTde5LW0 /ヽ、 ______________/ ,、 ` ー-、__________ /´i _ノ `ー 7 / `ー, } i | { .〈 ヽ__ノ ──---‐、 / ノ `ヽ、 \ <ー ァ ´ ̄゛⌒ ヽ、 「……迷惑」 ` ヽ ト、 `--、 `/ i ヽ ,-┬、 |ヽ/ | /7 , -‐ .i |=ヽ. /_ , ト _|_ ./-- 、 ト-- 、 「そうなのね! さっさと帰るのね!」 __)ヽ }┘ / `ヽ//_ノ/.| ヽ、_|__./`ヽ、 ̄` ー| { ,、┐V,TLゝ/ |_ 、__ヽヽ、」 ´ / .| ヽ| |`ー- ニヽ- V、ヽ_ン ^ー-|/ ./、__  ̄ 「……しゃべっちゃだめ」 ` | ,-, ∠ ´, / |, - | | /ヽトヽ、 ` ,..イM,.、 `ー |ゝ /ツ , -┘ ´ ´} { ̄|  ̄ フ./ /ヾ,Y-┬ァ´;;;;;;;\ 「……あっ」 ヽ _,ノ_,-.、 i.{ ハニコ / ヽ;;;;;;;ヽ風 ,;;;;;;--‐;7ー- ヽ-〃ノノ、 /ヽ { , | | .レ/ ,.-‐ ̄/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /ノ / ハ } } 〉 「.| .|‐ ´. , ;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;| / ∠_/ノ ヽノ /./. | | .| 、----く;;;;; -─ァ、;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;| / / // .∧ | | ヾ  ̄` Yr  ̄ .ヽ;;;;;/;;;;;;;;;;;;i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ヽ =-、ヽト、 V;; ⌒ヽ;;;;| | レー ´ ``ミ=、_ 7フ ̄´ ヽ;;;;;;;;;;;| ム「i )ノ _ イ `ヾ------ ;;;;;;;;;;;;i 410 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/22(土) 00 07 53.82 ID VBTde5LW0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ 「なるほど。貴様の選択肢は二つ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! このまま俺を目的地まで連れて行くか、拒否してそのドラゴンがしゃべれることを周知の事実にするかだ . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 好きなほうを選ぶがいい」 / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 前へ トップページ 次へ
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「私の生み出した『バオー』よ、もう間に合わん…爆発はここまで来る… フフフフ…わしとお前が死ねば…ドレスの研究も終わりだ…」 鍾乳石が突き刺さった老人が、血を吐きながら言葉を発する。 5 4 3 その後ろでカウントダウンの声が響いている。 「この神秘的な洞窟こそわしらの墓場に相応しかろう!」 2 さらばバオー! さらば少年よ! 1 0(ゼロ)!! 辺りが光に包まれ、それと同時に洞窟が崩れていき、凄まじい勢いで水が打ち寄せてくるのを感じる。 意識が遠くなっていく、おそらくこのまま自分は死ぬのだろう。 スミレは無事逃げ出してくれたのだろうか? そう考えた次の瞬間、彼の意識は閉ざされた。 そして次に彼が目を開けた時、ピンク色の髪をした少女に唇を奪われていた。 な、なにをするだァーッ! 混乱のあまりそう叫びそうになるが、突如焼け付くような痛みを感じ、彼はうずくまった。 「くっ、これは!?い、いけない!」 痛みそのものではなく、それがもたらす『変化』を恐れ、思わずそう叫ぶ。 「だ、大丈夫よ、『使い魔のルーン』が刻まれているだけだから」 いきなり彼が目を覚ました事に驚いたのか、彼のただならぬ雰囲気を察したのか、 先程の少女が恐る恐る彼に話しかける。そしてその言葉通り、程なく痛みは治まった。 何とか平静さを取り戻した彼がまず最初に考えたのは、自分はドレス、またはそれと同じような組織によって 助けられた、いや、モルモットとして捕らえられたのではないか?という事であった。 辺りを見回してみると、奇妙な生物が何匹かいる、漫画やゲームのモンスターそっくりな生き物達。尋常ではない。 だが、次の瞬間疑問も沸き起こる。周りにいる人間の服装の奇抜さにである。 もし彼らが研究員なら、白衣を身に着けているだろうし、自分を警戒しての戦闘員にも見えない。 そもそも自分が何であるかを知っていれば、開け放たれた外で目覚めさせる事などしないだろう。 (それにしても…) どうにも周りの人間は、自分を、いや自分の横にいる少女を嘲笑っているような感じである。 「これがッ!これがッ!これがゼロのルイズだッ!」 「な、何てことだ!一日一日、ゼロのルイズは確実に進化しているんだ!」 マイナス…ルイズはあと数日でマイナスになるぞ!お、おそろしい!」 等という言葉も聞こえ、ますます状況がわからなくなる。 彼女は機嫌が悪かった。 ご機嫌斜めだった。 それもそうである、初めて魔法に、しかも一生を左右するサモン・サーヴァントに成功したと思ったら、 平民が召喚されてしまったのである。 しかもその平民に、貴族である自分のファーストキスを捧げてしまったという現実! あと、いきなり起き上がったその平民に、そう平民にちょっとビビってしまったという事も。 メルヘンだッ! ファンタジーだッ! こんな体験できる奴は他にいねーッ! 等とポジティブに考える事など出来よう筈もない。 教官のミスタ・コルベールがルーンを見て珍しいなどと言うものだから、ちょっと期待したが、 あとは特に何を言うという事もなかった。 「はぁ…なんで私が平民なんかを…」 飛行魔法で校舎に戻っていく教官と級友を見送りながら、ルイズはため息をついた。 「君、これはいったい!?あの人たちは!?」 何かを叫んでいる自分の使い魔…認めなければならないだろう、『自分の使い魔』にむかって口を開く。 「あんた、名前は?」 「え?」 「だから名前はなんて言うのよ!?」 貴族の質問にさっさと答えないとは、どうやら頭の回転も悪いらしい…と、益々憂鬱になる。 「育郎…橋沢育郎…」 困った顔でそう自分の名を告げる平民を見て、彼女は「変な名前」と思いながら、再びため息をつくのであった。 しかし彼女はまだ気付いていない、『彼ら』が最強の生命力を持った使い魔であることを! 「なんだかものすごく嫌な予感がするわ…」 一方そのころ、超能力ではなく女の勘で、橋沢育郎が助けた少女スミレは、人知れず不機嫌になっていた。 To be continued…… 戻る
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「五度目の滅びの時を起こそうとしているのよ、オリジナルのアダムとリリスを使って。それこそが教会の掲げる【楽園創成計画】の実態……」 地下通路に漂うひんやりと湿った空気を切り裂くように飛翔するシルフィードの背に跨がったロングビルは、腰の前に広げた羊皮紙の地図を見定めながら、背後に跨がるシンジに、今現在、ハルケギニアを覆う陰謀の真相を語っていた。 土地柄、トリステインに数多く伸びる地下水脈の跡をそのまま利用したこの通路は、縦横無尽に入り組んでいる上に、申し訳程度にしか魔法灯が設置されていない為、著しく視界も悪い。地図を持たない者からすれば迷宮に等しく、しばらくは追っ手を気にする必要もなさそうだ。 しかし、二人に残された時間は限りなく少ない。 彼女達の背後では、城内へと侵入を許してしまった連合国軍に対して、トリステイン、ゲルマニア同盟軍による最後の抵抗が行われている。 オスマンの拘束は、もはや時間の問題だ。そして、リリスの接収を果たした教会は、直ぐさま滅びの時の儀式を始めるであろう。 ハルケギニア全土を巻き込んだ此度の大戦は、トリステイン王国が王都トリスタニアの陥落によって、一応の決着を付けようとしていた。 寡兵のトリステイン、ゲルマニア同盟軍は数の上で圧倒的優勢な連合国軍に対し、有効な策を立てられず、敗退に敗退を重ね、戦端が開かれてから間もないうちにトリスタニアへと押し込まれてしまったのだ。 もちろん、優秀な指揮官の下で、局地的に戦果を挙げることもしばしばあったが、戦の趨勢にはなんら影響を及ぼさなかった。 「種の生存競争を自ら放棄して、他の生命体に未来を託す……。私からすれば、それこそ悪魔の所業よ。彼等はアスモダイの血を憎むあまり、自身も悪魔に成り下がっていたことに気付いてないの」 ロングビルは肩越しにシンジの様子を窺った。少年は膝を曲げ俯いたままだ。 ロングビルは小さく息を吸い、決意を込めて口を開いた。 「いい、シンジくん。あなたが成すべき事は三つ。リリスの模倣体、……つまり、あなたがエヴァと呼ぶ存在の奪還、楽園創成計画の要であるジュリオの殲滅、そして、ルイズの覚醒と解放。一つでも取りこぼしは許されないわ。生き残る手段はそれしかないの」 「……もういやです」 シンジの消え入りそうな呟き声は、一瞬にして向かい風の中へと溶けていった。 「何を言ってるの?」 「もういやだ。なにもしたくありません……」 ロングビルは眉をひそめた。 「分かってるでしょ。逃げ場なんて、もうどこにもないのよ」 「ジュリオさんが言ってました。ぼくの世界、……今から二万五千年前、エヴァとぼくを失った世界は三度目の滅びの時に見舞われたそうです。ぼくの知っている人もほとんどがそのせいで死んでしまった。 今の時代もそうです。ぼくのせいで…、ぼくなんかがいるせいで……、みんなが」 何かに追い詰められたように自身の前髪を乱暴に掴み上げると、シンジは言葉を続けた。 「ぼくに何かが起こる度に誰かが傷付いていくんだ…、ぼくが何かをする度に誰かが死んでいくんだ…。だったら、何もしない方がいい、何もしないで死んだ方がましだ……っ!」」 「今更、泣き言なんて聞かないわよ。同情もしない。分かって、私達はもうジリ貧なのよ」 ロングビルは胸に溜まりいく同情心を理性で無理矢理押さえ付け、厳しい口調で言った。 「……ぼくは戦うしかないと思ってた。周りの人の為に戦うしかないと思ってた。だけど、そんなの思い上がりだ…っ。人の為に頑張ってるんだ、なんて思うこと自体、甘えに過ぎないんだ。 結局、ぼくは楽な生き方を選んでいただけなんだ…。何も知らない…、何も分からないぼくに戦う資格なんてないんだっ!」 小さく息を継ぎ、シンジは再び膨れ上がった剥き出しの嫌悪感を吐露し始めた。 「ルイズさんに酷いことしたんだ……。ぼくのせいでワルドさんも死んでしまった。ギーシュさんも、キュルケさんも、タバサさんも、みんな死んでしまった。だけど、涙すら出てこないんだ……。ぼくには優しさなんてかけらもない。狡くて臆病で卑怯なだけだ」 その時、前方からまばゆい光が差し込み、薄闇に慣れた瞳を焼かれるような感覚に襲われたロングビルは瞼を軽く閉じ、小さく呟いた。 「着いたわね」 先日、シンジが訪れた謁見の間程の開けた空間に入ると、シルフィードはまるで墜落するかの様に乱雑に着地した。 「……もう限界だったのね」 ロングビルの言葉にシルフィードはきゅいと小さく鳴いて応えると、ゆっくりと瞳を閉じ、そのまま絶命した。息絶えたシルフィードの腹部からじんわりと泡立った鮮血が広がっていく。 魔法によって錬成された大理石仕立ての部屋には、通路とは違い魔法灯がふんだんに使われていた。それが、かえって真紅の液体を不気味な程に映えさせている。 シルフィードの背中から飛び降り、その光景を目にしたロングビルの瞳に水気が増した。 「ここまでありがとう。安らかに眠りなさい……」 ロングビルはシルフィードの頭を優しく撫で、命を失った身体を自身のマントで被ってやった。 それが済むと、歩こうともしないシンジの体を無理矢理引きずり、部屋の奥に位置する金属製の扉に向かった。 「良かった、魔力はまだ生きてる。さすがはトリステイン王族御用達の脱出装置。いけるわね」 ロングビルは振り返り、表情もなく風竜の亡きがらを眺める少年の姿を見つめた。 「シルフィードは死んだわ。そうやって眺めてても生き返りはしないわよ」 「……また、ぼくのせいですか」 「あなたのせいじゃないわ。あなたの為によ」 「どっちだって一緒です」 ロングビルはシンジの腕を掴み取り、少年の小柄な体を扉に向かって乱暴に叩き付けた。そして、瞳の中に苦しみと悲しみの光を浮かべる少年の顔を覗き込んだ。 「いい、シンジくん。ここから先はもうあなた一人よ。全てを一人で決めなさい、誰の助けもなく」 「ぼくはだめなんだ…、だめなんですよ……。人を傷つけてまで戦う価値なんてないんだ。人を殺してまで戦う資格なんてないんだ」 ロングビルは、シンジの頭を挟みこむように両手を壁につけ、静かに言った。 「あなたがしてきたことで救われた人だって大勢いるのよ。一度はトリステインの危機を救った。そして、ウェールズ皇太子の魂を解放したのもあなた。タリブの村人だってそう。全部、あなたがしてきたことなのよ。胸を張っていいことだわ」 「それだって違うんだ……。ほんとはどうでも良かったのかもしれない。ただ……」 数瞬の静寂が訪れ、耐え切れずロングビルはシンジを促した。 「ただ……、なに?」 少年の心に自己嫌悪が張り付いた。 「ただ……、ルイズさんに褒めてもらいたかっただけなんだ……」 ロングビルは、はっと息を飲んだ。 「それだけの自分勝手な幼稚な気持ちのせいで、誰かを傷付けるのはもうたくさんなんだ…っ!」 少年はどこまでも悲しそうな顔で視線を落とす。 ロングビルは微笑みを浮かべ、少年の頭を自身の胸に優しく抱き留めた。 「好きな人に褒められたいから頑張る、か……。うん、いいじゃない。その方がよっぽど十四歳の少年らしいわよ」 「……だけど」 「じゃあ、シンジくん。最後にもう一度だけ、ミス・ヴァリエールに思いっ切り褒められることをしなさい」 不思議そうに少年が顔をあげる。 「……え?」 「ミス・ヴァリエールを救うのよ。それが出来るのはあなただけ」 「そんなの無理ですよ…。今のぼくにはエヴァもない。何もないんだ。何もないぼくには何もできやしない」 「何を言ってるの、あなたはガンダールヴであり、二万五千年前、アダム族に決戦を挑んだ最初のリリス族であり、五千年前、アスモダイの祝福を受けた唯一のリリン。伝説を三つも持ったあなたに出来ないことなんて、何一つありはしないわ。 シンジくん、確かに全ての事象はあなたを中心に廻っている、二万五千年前を契機にね。だからこそ戦いなさい。自分が何の為にいるのか。何の為にあるのか。今の自分の答えを見つけなさい。そして、全てに決着を着けたら……」 ロングビルはそこで首を振った。 「さ、もう、時間よ」 シンジの背後の扉が音も無く開かれ、もたれ掛かっていたシンジはその中に崩れ落ちた。 「これは……?」 「フライとレビテーションがかけられた昇降籠。あなたを地上まで連れていってくれるわ」 「一緒に乗らないんですか……?」 「あなたと暮らした二ヶ月間、悪くなかったわ。頑張ってね、シンちゃん」 そう言って微笑むロングビルの口端から鮮血が漏れていることに気付き、シンジの目が開かれた。 突如、昇降籠の扉が勢い良く閉じられる。 「マチルダさんっ!!」 シンジの口から紡がれた彼女の真実の名は、厚い石の壁に阻まれ、ロングビルの元へと届くことはなかった。 昇降籠が地表を目指し、急激な速度で上昇を始める。 シンジは咄嗟にデルフリンガーを引き抜き、取り乱したように絶叫した。 「デルフリンガー!これにかけられた魔法を解いて!早く!!!」 しかし、デルフリンガーは小さく息を漏らすと、淡々と語った。 「無理だよ。物や人にかけられた魔法は俺にも吸収できねえ」 「……そんな」 シンジは倒れ込むように力無く壁に両肩をついた。 「それに今更戻ってどうするんだい」 「そんなの、決まってる。マチルダさんを放っておくわけにはいかない……」 「お前さんは気付いていなかったようだが、ありゃ致命傷だ。シルフィードだけじゃなく、あの時、マチルダも喰らってたんだよ。むしろ、よくぞここまでもったって感じだ」 絶望しきったシンジは両手に顔を埋める。不意に手を離されたデルフリンガーが床に落下し、渇いた音を響かせた。 「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……っ」 呪詛を唱えるかの様に延々と怨嗟の言葉を呟くシンジを見つめ、自身を落としたことを責めるでも無くデルフリンガーは言った。 「相棒はこれまで十分頑張ったよ。いつも離れず相棒の傍にいた俺はそのことをよーく知ってる。辛いなら、何もしなければいい。みんな死んじまったし、今更、お前を責めたてる奴もいやしない」 「……え?」 「放っておけば、間もなく滅びの時が勃発する。苦しみや悲しみもそこで終わりさ。死んでしまえば、何も感じやしないからな」 シンジは床に転がるデルフリンガーを静かに見つめた。 「誤解の無いように言っとくが、皮肉や嫌味じゃないぞ。たった十四歳のガキがここまで踏ん張ったんだ。上出来さ。まあ、地上に着いたら、世界の終わりをのんびりと眺めようや」 まるでこれから舞台観賞に赴くかの如く、デルフリンガーは何処までも暢気に言った。 シンジはデルフリンガーを拾い上げ、光り輝く片刃の長剣を見遣る。 「……滅びの時が起きたら、どうなるの?」 「相棒だって知ってるだろ。間違いなくリリンは全滅さね。今度の滅びの時は、今までハルケギニアで起きてきた半端なものとは、全くの別物だからな」 「……ルイズさんは?」 「全滅は全滅だ。ルイズだけ、特別ってわけにはいかねーわな」 シンジは思い詰めたように俯いた。 「ルイズを救いたいのか……?」 「分からない……、何がしたいのか分からないんだ。まるで、自分が自分じゃないみたいで」 デルフリンガーは、そうか、と相槌をつくと、真摯な想いを感じさせる深く落ち着いた声で言った。 「なあ、相棒。見ての通り俺は武器だ。つまり、道具だ。情けない話だが、俺はお前に使われることしか出来ない。だけど、お前には、お前にしか出来ない、お前になら出来ることがあるはずだ。 俺はいつだってお前の味方だ。だから、俺は間違っても強制したりはしない。自分で考え、自分で決めろ、後悔の無いようにな」 「……デルフリンガー」 「もしも、お前さんが戦うと言うなら付き合うよ。何もしたくないと言うなら、それにも付き合おう」 「……まだ、間に合うのかな?」 「何にだい?」 「……今からでも、世界を救えるのかな?」 「お前さんがそんなことを考えているうちは、無理だろうな」 デルフリンガーは心底呆れたようにため息をついた。 「何もかも背負いこもうとするのは、もうやめろ。十四歳のガキの分際で生意気なんだよ。いいか、残された時間はほんのわずかだ。 だから、最後くらいは、自分の為だけに戦え。自分の為だけに剣(俺)を振るってくれ。自分がどうしたいのか、自分はどうありたいのか、自分の望む世界は何なのか。それだけを考えろ。 さっきも言ったろ、お前は人の為に十分頑張ったよ。この上ないくらいにな。そんなお前を責められる奴なんていやしないんだ。だったら、最後くらい、ガキのワガママ通してみろよ」 少年の顔が一気に歪み、瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちていった。 「……ありがとう、デルフリンガー。ぼく、やっぱり、戦うよ。やっぱり、ルイズさんを助けたいんだ…」 「……そうか。じゃあ、一緒にもうひと踏ん張りだな」 シンジは次々と溢れる涙を拭いながら、口を開いた。 「よく分かったよ。ぼくには何もない。力もない。勇気なんて、これっぽっちもない。支えてくれた人達も、もういない。大切な人だって、ぼくの傍にはいない。何もないんだ」 デルフリンガーは自嘲の言葉を並べる少年を心配しつつも、口を開こうとはしなかった。 「何もありはしないんだ。だから、ぼくはゼロだ。ゼロのルイズの使い魔……」 少年が決意に染まる顔を上げた。 「そう、ゼロの使い魔、碇シンジだ……!」 直後、昇降籠内に耳を突く金属音が響き渡り、シンジの体を激しい振動が襲った。 目の前の扉が開かれ、その先には緑豊かな森林が広がっている。鳥のさえずりが耳に溶け、木立の隙間から差し込む朝の光が少年の体を照らした。 長い、本当に長かった夜が明けたのだ。 少年は片刃の長剣を握ったまま光りの指す方に向かって森の中を歩いた。ロングビルの言葉が正しければ、その先にトリスタニアがあるはずだ。 しばらくして、その森が小高い丘にあることが分かった。 眼下には、トリスタニアの街並みが広がり、その中央に位置するトリスタニア城からは濛々と白煙が立ち上っている。 威厳に満ち壮麗であったかつての名城も、今では見る影もない。焦げ付いた瓦礫の山を縫うように静々と血の川が流れ、無残としかいいようのない光景を晒していた。 「トリスタニア陥落、か。戦端が開かれてから、六日目。シナリオ通りってわけだ。教会の連中は残された一日で全ての片を付ける腹積もりなんだろうよ。神様気取りにも程があらぁ」 デルフリンガーの言葉には応えず、朝の陽光に映える澄み切った青空をシンジは静かに見上げた。 「ギーシュさんの言う通りだ。こんな時でも、空の青さだけは、変わらないんだな……」 青年の言葉がリフレインする。 『辛い時は空を見上げればいい。そして、ぼくの言葉を思い出せ』 枯れたはずの涙が再び溢れ、片刃の長剣を握る右手に一層の力を込めた。 「行こう。ゴルゴダの丘に……。ギーシュさんの言葉に応える為にも、そこで、ぼくはぼくの世界を作るんだ……!」
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++第九話 使い魔の決闘③++ 花京院はゆっくりと身体を起こした。 身体の節々が痛む。特に右腕の痛みが酷い。 しかし、立つことはできた。 それを阻止するはずのゴーレムは立ちすくんでいる。 主からの命令が来ず、どうすることもできないのだ。 ギーシュは自分の喉を押さえ、目を白黒させていた。 「どんな気分だ? 自分の中に何かが入っているっていうのは」 「……!」 目を見開き、ギーシュは必死に訴えるが、その声は出ない。 花京院はギーシュからバラを取り上げた。 バラの造花が魔法の杖だったようで、ゴーレムたちは次々と土に戻り、土の山だけが残った。 「さて、僕は考える。これから『お前をどうするか』をな」 「……」 「今、お前の中には僕のスタンドが入っている。僕の意のままに動き、お前を殺すことができる力だ」 花京院の言葉に、ギーシュの顔が青くなる。 「このままお前を操って自分の首を締めさせようか。それとも内側から風穴を空けようか。いっそこのまま内側から破裂させるという考えもある。……しかし、このまま殺すのを決闘とは呼べないな」 スタンドを操作し、ギーシュの右手を差し出させた。 その手のひらにバラを置き、握らせる。 ギーシュは理解不能というように、花京院を見た。 「剣を二本作れ。それ以外に何かしたら殺す」 花京院の本気を感じ取ったようで、ギーシュは身震いした。 恐怖に震えながらも、バラを振る。 すぐ側の地面が盛り上がり、二本の剣が現れた。 ギーシュに剣を握らせてから、距離を取らせた。 互いの距離は三歩ほど。一歩踏み込めば剣が届く程度の距離だ。 「お前は剣を握ったことがないだろうし、戦いの経験も浅いだろう。一方、僕は戦いには慣れているが、身体がもう限界に近い。今の僕とお前なら対等だと思わないか?」 「……」 ギーシュは無言のまま握った剣と花京院の顔を見比べた。 彼の顔には今までの余裕の笑みも、からかいもなかった。真剣勝負への恐怖と、もう一つ別な感情がそこにはあった。 エジプトでDIOの館に乗り込むとき、全員が持っていたもの。 DIOとの最後の戦いのとき、花京院が持っていたものと同じものだ。 力量の差がはっきりしていても、それがあれば戦える。 絶望的な状況でも、それさえあれば希望が見出せる。 それを言葉にするのならば――“勇気”。恐怖を克服する力だ。 ……なかなか、いい顔になってきたじゃないか。 ギーシュは敵であり、ルイズを侮辱した相手に違いはない。しかし、花京院は少しだけ敬意を払うことにした。 目の前に突き刺さった剣の柄頭に手を置き、花京院は高らかに宣言した。 「我が名は花京院典明。我が主、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの誇りのため、そして、傷つけられた二人の少女のため。ギーシュ・ド・グラモン、お前に敗北を味わわせてやる」 ギーシュは震える手で剣を握り、構える。 花京院も左手で剣を掴んだ。 その瞬間、左手に刻まれたルーン文字が輝き出した。 花京院とケンカし、部屋に戻ったルイズは落ち込んでいた。 ベッドの上に仰向けになり、天井を眺めながら呟く。 「なんであんなこと言ったんだろ……」 あの時、魔法について質問され、怒ってしまった。 自分をゼロのルイズだと馬鹿にしているんだと思った。 前の授業でも失敗していたから余計に傷ついてしまった。 でも、あいつは知らなかったんだろう。魔法のことも、たぶん今日始めて知ったはずだ。 自分の知らないことを質問する、そんな当たり前のことを怒ってしまった。 「……はぁ」 ため息ばかりが口から漏れる。 謝りに行こうかとも考えたが、自分のプライドが許してくれない。 使い魔に頭を下げるメイジがどこにいる。使い魔はメイジの下僕。向こうが謝るのが道理というものだろう。 ルイズは起き上がり、腕を組んで考えた。 謝るべきか、謝らないべきか。 悩んだ結果――ルイズは立ち上がった。 「よ、様子を見るだけ。ただ、様子を見に行くだけよ。使い魔の管理はメイジの仕事だからね。それを怠るのはメイジとしてどうかと思うし」 誰に言うでもなく言い訳をして、ルイズは部屋を出た。 その時、目の前を二人の生徒が横切った。 「あのギーシュが決闘? 本当かよ。相手は誰?」 「平民だって聞いたぜ。あのゼロのルイズが召喚した使い魔だって」 「ちょっと待ちなさい!」 思わず、ルイズは呼び止めた。 怪訝な顔で二人は振り返り、ルイズの顔を見て目を見開いた。 そんなことには一切構わずに、ルイズは尋ねる。 「私の使い魔が……なんだって?」 「い、いや、今のは別にお前を馬鹿にしてたわけじゃ……」 ルイズの勢いに気圧され、一人が慌てて弁解しようとする。 「そうじゃない。私の使い魔が、ギーシュと、何をするって?」 「あ、ああ。聞いただけなんだが、どうも決闘するらしいぜ。お前の使い魔とギーシュが」 「……場所は?」 「ヴェストリの広場。ひょっとしたらもう始まってるかも……」 終わりまで待たず、ルイズは走り出していた。 こんなことなら、離れるんじゃなかった。 失態を悔やみ、自分を責める。 メイジと平民では勝負にすらならないだろう。 いくら相手がドットのギーシュだとしても、それは変わらない。 それだけの力の差がメイジと平民にはあるのだ。 初撃で、諦めてくれるならいい。 負けを認めて、すぐに引き下がるならいい。 それなら少しの怪我だけで済む。 でも、あいつはきっとそうしない。 ボロボロになっても、負けを認めないだろう。 たとえ絶対に敵わなくても、戦いを続けるだろう。 きっと、死ぬまでそうするつもりだ。 あの使い魔はそういう奴なのだ。 短い付き合いでも、ルイズにはそれがわかっていた。 だからこそ、急がなければならない。 生意気で、物分りがよさそうなくせに、ここぞというところで意地になる。 主人に従順であるべき使い魔としては失格だが、それでも生きていて欲しい。 ……無事でいなさいよ。 祈りながらルイズはひたすら走った。 To be continued→
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「何よこれ」 その日ルイズが召喚したものは、小さな茨の冠だった。 「何が出てきたんだ?」「何も見えないぞ」「ネズミでも呼び出したんじゃないか?」 ルイズの後ろから、同級生達の声が聞こえてくる。 ゲートから召喚されたものが何なのか、見ようとしているのだろう。 ルイズは一歩前に出て、地面に置かれた茨の冠を手に取った。 よく見ると、中央に穴の開いた奇妙な鏡に茨が絡みつき、冠の様相を見せている。 なんだかよく分からないけれど、これは自分が召喚した使い魔らしい。 「ミス・ヴァリエール、どんな使い魔を召喚したのかね?」 どこまでがおでこなのか分からない教師、コルベールがルイズに近寄り、ルイズの手をのぞき込む。 「あの、これ…」 手の中にある茨の冠を見せると、コルベールは首をかしげた。 「これ?…はて、これとは、どれのことですか?」 「だから、この茨の冠みたいなものです」 「…?」 「…」 「…」 ほんの少しの間、重たい沈黙が流れたかと思うと、コルベールはぽんと手を叩いて他の生徒達に向き直った。 「えー、皆さん!そろそろ帰らねば、次の授業に遅れてしまいます、少々急ぎ足で戻るとしましょう!」 コルベールの声を聞いて、生徒達は空を飛んで、トリスティン魔法学院へと帰っていく。 ルイズを馬鹿にする言葉も少なくない、誰かは「とうとう頭がヘンになった」とまで言ってルイズを侮蔑し、飛び去っていった。 「ミス・ヴァリエール、召喚が失敗したからと言って意地を張ってはいけません、さあ、もう一度やり直しましょう」 「え…」 優しく語りかけるコルベールの笑顔が、ルイズにはとても残忍なものに見えた。 コルベール先生の指導の元、サモン・サーヴァントを何度もやり直したが、ルイズの前に使い魔を呼び出すゲートは現れなかった。 ルイズは何度も茨の冠のようなものを指さし、これが呼び出されているからゲートが開かないのだとコルベールに説明した。 だが、コルベールは気の毒そうにルイズを見ると、今日はもう疲れているのだから休みなさいと言って、魔法学院に帰るよう促した。 そこでルイズは気づく、この茨の冠はコルベール先生に見えていないのだと。 「先生!違います、本当に私、使い魔を呼び出したんです、この茨の冠みたいなものを、持ってください!」 ルイズはコルベールの手を取って、その上に茨の冠を載せる。 だがそれはコルベールの手を通り抜け、地面に落ちてしまった。 「…!」 呆然とするルイズを見たコルベールは、ルイズが意地を張り過ぎて混乱しているのだと考えた。 空を飛ぶことの出来ないルイズは、魔法学院に歩いて帰るしかない。 混乱状態の生徒から目を離す訳にはいかないので、コルベールはルイズと共に歩いて魔法学院へと戻ることにした。 ルイズは茨の冠を胸に抱き、部屋に戻ろうと歩いていた。 その途中キュルケとすれ違い、この茨の冠は他人には見ることが出来ないと、改めて認識することになった。 「あら、ヴァリエール、胸に何か抱いてどうしたの?」 「…”何か”って、ツェルプストーは、これが見えるの?」 「これって、どれのことかしら」 キュルケは、胸の前で交差させたルイズの腕をのぞき込む、だがそこには何もない。 胸すら無い。 「何にも持ってないじゃない、あんた大丈夫?」 「見えない…の?」 「?」 部屋に戻ったルイズは、茨の冠を手に持ち、考える。 これは一体なんだろう? 他の人には見ることも出来ないし、触れることもできない。 ルイズからは見ることができ、触れることもできる。 訳が分からなかった。 やたらにルイズのことを心配し、魔法学院まで付き添って歩いてくれたコルベール先生。 彼はきっと、サモン・サーヴァントに失敗たと思いこんでいるのだろう。 使い魔がいないメイジは二年に進級できない、つまり、明日の授業は皆と一緒に受けることもできず、一年生と一緒に授業を受けることになる。 けれども、自分は確かにこの茨の冠を召喚した。 誰にも認めて貰えない使い魔。 ルイズは笑った、だが、それは自虐的な笑いだった。 何年も何年も、魔法が成功しない、ゼロのルイズと蔑まれてきた結果が、誰にもその存在を認められない使い魔。 本当に自分にはお似合いだと、泣きながら笑った。 ルイズは茨の冠を手に取り、鏡の前に立つ。 これを被ったら、どんな格好になるだろう、花の冠ではなく茨の冠なんて、自分にはお似合いかもしれない… そう考えながら、ルイズは茨の冠を頭に乗せた。 『ハ ー ミ ッ ト ・ パ ー プ ル ! 』 ぱっ、と頭の中で何かの声が響く。 ルイズは咄嗟に部屋の中を見回したが、自分以外だれも居るはずがない。 だが、確かに聞こえたのだ、『ハーミット・パープル』と。 改めて鏡を見ると、頭に乗せたはずの茨の冠が消えていた。 これが後に『ゼロのルイズ』を『ゼロの茨』と名を変え、『虚無の茨』として恐れられる運命の第一歩だとは、本人ですら気づいていなかった。 続かない。
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画像 説明 基本情報 ステータス ⇒ユニットに戻る [部分編集] 画像 説明 防衛施設を優先的に攻撃する飛行ユニット。研究レベルの低い間は扱いづらい印象もあるが、研究レベルが高くなると強力な攻撃力と適度な耐久力を備えた強力なユニットに成長する。極端に移動速度が遅く、小出しではナイトポーンの餌食になってしまうので、まとめて大量に出撃させるのが有効。ただし、ファントムトラップには要注意。移動速度アップやヒーリングライト、タイムストップ等の魔法カードと相性がいい。 基本情報 キャンプスペース 精製時間 移動速度 移動対象 攻撃の種類 攻撃の対象 優先ターゲット 攻撃距離 攻撃速度(回/秒) 4 8分 7 空中 単体攻撃 地上 防衛設備 1 4 ステータス レベル 一撃のダメージ HP 精製コスト アップグレードに必要な資源 アップグレードに必要な時間 1 154 240 1200エーテル - - 2 197 290 1500エーテル 60000エーテル 2日 3 296 340 1800エーテル 250000エーテル 4日 4 443 410 2100エーテル ?エーテル ?日 5 665 500 2400エーテル 1500000エーテル 5日 コメントはこちらに 名前 閲覧数(通算): - 閲覧数(今日): -
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